野菜こぼれ話~畑のあれこれ~ 第三回「キャベツ」
”キャベツとカリフラワーは親戚”
ご存知の方にとっては当たり前のことだが、カリフラワーとキャベツはある意味で「親戚」にあたる。
この連載で取り上げてきたように、多くの野菜には品種改良で作り出されたものという側面があり、もとはキャベツも結球する(=丸くなる)野菜ではなかった。
キャベツの原種は、青汁でおなじみのケール(に近い野菜)だったとされている。
元々ヨーロッパに自生していた、苦くて固い葉物野菜。
そんなキャベツの原種を、より柔らかく、結球するように品種改良したのが現在の一般的な丸いキャベツであり、一方で花のつぼみを食べようと改良したのが後のブロッコリーである。
いわれてみると、スーパーに並ぶブロッコリーの茎に少しだけ残っている葉は、どことなくキャベツの外側の葉に「面影」が似ているような気がしないでもない。
そして、そんなブロッコリーがアルビノ化した(白くなった)野菜であるカリフラワーは、キャベツから見れば「甥」か「姪」といったところなのだろう。
キャベツと双璧をなす葉物野菜であり、原産地も同じヨーロッパであるレタスも、元々は結球する野菜ではなく、リーフレタスのようなものが原種だったらしい。
葉物野菜の結球には、内側の葉に太陽が当たらなくなり、その結果として葉が白く柔らかくなるというメリットがある。だから先人たちはキャベツやレタスに対して、結球させるための品種改良を行った。
結球するようになった野菜の数々。
そこには、よりおいしく野菜を食べられるよう、長い時間をかけた先人たちの努力の積み重ねがある。畑はそんな先人たちの「研究開発」の成果が受け継がれる場所なのかもしれない。
ちなみにレタスが世界的にサラダの定番野菜である一方、キャベツを生で食すのは日本だけらしい。 (続く)
【参考文献】
森昭彦『身近な野菜の奇妙な話』(SBクリエイティブ、2018)
稲垣栄洋『明日ともだちに話したくなる野菜の話』(総合法令出版、2018)
玉村豊男『世界の野菜を旅する』(講談社現代新書、2010)